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完熟早生「心」に力を入れるみかん農家・石川功さんに直撃! 三ヶ日インタビュー企画第4弾

完熟早生「心」に力を入れるみかん農家・石川功さんに直撃! 三ヶ日インタビュー企画第4弾

みかん農家 石川 功さん

2012年にサラリーマンから就農し、約5haの畑で2,500本以上のみかんの木を管理する石井 功(いしかわ いさお)さん(42歳)。三ヶ日のプレミアムみかんのひとつである、完熟早生「心」の生産に力を入れています。おいしいみかんを作るための技術向上に励み、2019年度2020年度に連続してマルエム生産者組合で総合の部の優秀生産者として表彰されました。 今回は、産地の中堅農家として活躍する石川さんの、みかん作りにかける想いやこだわりについて伺います。

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Uターン就農

なぜ就農を決意したのですか?

私の実家は兼業のみかん農家でしたが、自分は次男ということもあり家を継ぐことはあまり考えていませんでした。しかし、新卒で企業に就職し、会社員として勤める中で、常に頭の片隅にあった農業経営の可能性やその魅力を段々と強く感じるようになってきました。30歳を目前にして兄と相談を重ねた末に、代々続く実家のみかん作りを私が継ごうと決めました。

みかんの専業農家になるからには、サラリーマンのときよりも仕事を充実させ、豊かな生活を送ろうと決意していました。農業で要となるのは、商品の「量」と「質」です。兼業農家だった父から経営を引き継いだ後は、畑の面積を増やすとともに、より質の高いみかんを作るために栽培技術を磨くことに注力してきました。まだやらなければならないことは数多くありますが、最近なんとか就農した頃に立てた最初の目標にたどり着いたところです。

就農後に苦労したことを教えてください

サラリーマン時代は、多くの企業がそうであるように、仕事や労働環境は会社から与えられるものでした。それに対して農業では、様々な表情を見せる自然がフィールドです。自然と対峙し、時に翻弄されながらも美味しいみかんを作り、世の中に価値を提供しています。先輩農家から学び、自分自身でも経験を積んで、質の高いみかんを安定して出荷できるよう努力しています。

就農してから特に気を配っているのは、自分を含めた家族と従業員の労働環境です。みんなが気持ちよく働ける環境を作ることは、事業主である自分の役目であり、美味しいみかん作りを続けるためにも必要な条件です。その意味で、農業経営は作物の栽培以外の部分でも学ぶべきことが多いなと感じています。就農して苦労はなかったといえば嘘になりますが、刺激的で充実した毎日を送れています。

歴史あるブランド産地で優秀賞を獲得

石川さんは、量と質の両立を実現しながら、みかん作りの技術を向上させてきました。就農から10年を待たずして、歴史あるマルエム出荷組合で2019年度2020年度の総合の部の優秀賞にも選ばれています。その裏には、Uターン就農時の決意に支えられた、みかんの栽培技術への追及心があります。


美味しいみかんを作る秘訣を教えてください

土作りに始まり、木を健全に保つための剪定や、摘果、収穫時期の管理など、すべての工程において目配りを大切にしています。 例えば土作りでは、三ヶ日の土壌を活かしつつ、みかんの木の状態に合わせて肥料を与えています。その時々にみかんの木が必要としているものを見極めて、応えてやることで、最高のみかんができると信じています。

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栽培技術向上のために取り組んでいることは?

経験を積むことを大事にしています。うまくいった時は理由を考えるし、うまくいかなかった時は原因の仮説を立てて、次は改善できるように心がけています。

就農から数年は苦労の連続でした。自分なりに一生懸命やっているつもりなのに、結果が出ないのです。よいミカンを作りたい、という願望のレベルではなく、いいミカンを作らなければ経営が成り立たない、という現実に直面していました。

「これはもう根本的にミカン作りを学ばないと変わらない」。危機感を覚えました。そんな苦境を救ってくれたのは、先輩農家のアドバイスでした。

地元の篤農家に頼み込んで、みかん作りの教えを請いました。技術を学ぶ中で提案されたのが、難易度が高いプレミアムみかん「心」の栽培に挑戦することでした。果実を樹上で完熟させる「心」は、果実に多くの養分が必要となるため、樹の消耗が激しいです。管理がおろそかになっていると、果実だけでなく、果実を支える樹もボロボロになってしまいます。

難易度の高い「心」の栽培に取り組むことで、基本管理の大切さや樹の生理への理解が深まり、みかん農家としての自分の成長を感じています。

技術を吸収している実感がありますが、今でも困ったときには周囲の先輩に相談しています。美味しいみかんを作るための技術習得に対しては、常に貪欲でありたいと思っています。また、周囲の生産者からアドバイスを求められた際には、自分がしてもらったように、自分の持てる技術を伝えるようにしています。

プレミアムみかん「心」への挑戦

樹上完熟みかん「心」のこだわりとは?

「心」は、通常であれば11月に収穫する早生みかんを、12月まで樹上で完熟させた商品です。濃いオレンジ色にきれいに色づく皮と、コクのある甘みが特長です。 一般的なみかんと異なり、「心」は木の根元に白色のシートを張って栽培します。シートからの反射光で樹の光合成を促進することで、みかんの果実が甘くなるのです。また、シートを張ることで必要以上に雨が地面に浸み込むのを防げるため、余計な水分を遮断して果実の味が薄まるのを防ぐ効果もあります。

さらに、樹上で完熟させている間に鳥や獣に食べられないよう、対策を徹底する必要があります。最後の収穫のタイミングも見極めが難しく、少しでも早ければ半熟、時期を逃すと過熟になってしまいます。最高品質のプレミアムみかん「心」をお客様にお届けするため、収穫前は毎日味を確かめて、収穫日を決めています。

「心」は普通のみかんと比べて手間がかかりますが、その分、ずば抜けて甘い濃厚なみかんができます。みかん農家の間では、みかんの収穫を手伝ってくれた人にお土産にみかんを渡すのが恒例です。「心」の収穫をお願いしている人たちからは、「心は本当に美味しい」「毎年、収穫を心待ちにしている」という声もよく聞きます。質の高いみかんを毎年ならせることは、簡単ではありません。しかし、「心」には挑戦する価値があると思っています。

JAみっかびには700軒ほどのみかん農家がいますが、その中で「心」を育てているのは50~60軒ほどです。生産量には限りのある「心」ですが、一度ぜひ皆様にも味わっていただきたいです。

今後の目標を教えてください

JAみっかびでは、2021年度に新たな選果場が完成し、より精密な選果システムが導入されます。お客様に高品質なみかんを届けられるよう、一日一日の積み重ねを大事にしていきます。

また、次世代に向けたみかんの栽培に関する情報の発信にも力を入れていきます。少子高齢化により、まちも、農業も、課題を抱えています。自分もそうでしたが、子どもたちが頭の片隅に「三ヶ日でみかんを作って生きていく」という選択肢を持っていてくれればいいなと思います。産地の魅力を次世代に伝えることで、三ヶ日のみかん作りを継承していく一助となれば嬉しいです。

おわりに

JAみっかびでは、定番の商品だけでなく「心」のように丁寧に手間をかけたプレミアムみかんもお届けしています。一段上の三ヶ日みかんを、ぜひ味わってみてください。

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