みかんは、食物繊維やビタミン、ミネラルなど豊富な栄養素を含む果物です。その中でもカリウムは体に欠かせないミネラルの一つで、高血圧の予防・改善に重要な役割を果たします。しかし、腎機能が低下している場合は摂取量に注意する必要があります。
この記事では、みかんのカリウム含有量に加え、カリウムの摂取目安量や血液透析との関係などについて詳しく解説します。
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※24年10月の売上実績からランキングを作成していますカリウムとはどんな栄養素?
細胞内液の浸透圧を調節したり、神経や筋肉の働きに関与したりする体に必須のミネラルがカリウムです。カリウムは、同じくミネラルの一つであるナトリウムと互いに作用し合い働いており、ナトリウムが体内に増えすぎると体から排出してくれる作用があります。
ナトリウムは主に食塩として摂取され、摂り過ぎると高血圧の原因となるため、高血圧の予防・改善にはカリウムの十分な摂取が推奨されています。
みかんのカリウム含有量は?
みかんのカリウム含有量はサイズや種類によっても異なりますが、果物の中では中程度です。普段よく食べられている果物との比較は以下の通りです。
状態など | カリウム | |
---|---|---|
うんしゅうみかん | 生 | 150mg |
バナナ | 生 | 360mg |
りんご | 皮なし/生 | 120mg |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 300mg |
いちご | 生 | 170mg |
みかん(うんしゅうみかん)100gあたりのカリウム含有量150mgは、Lサイズくらいのみかんを食べたときに摂取できるカリウムの量です。
ちなみにMサイズのみかんの食べられる部分(皮を剥いた状態)は約80gで、カリウム含有量は120mgとなります。
次は主な柑橘類のカリウム含有量を見てみましょう。
状態など | カリウム | |
---|---|---|
いよかん | 生 | 190mg |
オレンジ | ネーブル/生 | 180mg |
なつみかん | 生 | 190mg |
しらぬい | 生 | 170mg |
みかん(うんしゅうみかん)より、しらぬい(デコポン)やいよかん、オレンジなどでカリウムが多い傾向があることが分かりますね。
カリウムは1日あたりどのくらい摂取すべき?
人間の体に必須のミネラルであるカリウムですが、腎機能が低下している場合は摂取制限が必要となるケースもあります。
ここでは、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」におけるカリウムの摂取目安量や、腎臓病がある場合のカリウムの摂取量について解説します。
カリウムの摂取目安量
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、1日あたりのカリウムの摂取目安量は成人男性で2,500mg、成人女性で2,000mgです。
また、摂取目安量のほか生活習慣病の予防を目的とした摂取目標量を設けており、これは成人男性で1日3,000mg以上、成人女性で2,600mg以上となっています。
腎臓病の人はカリウムの摂取に制限が必要な場合もある
体に必須であり、高血圧の予防・改善に役立つかリウ雨は、本来積極的に摂取すべきですが、慢性腎臓病(CKD)や慢性腎不全などで腎機能が低下している場合は制限が必要となるケースも。
腎機能が正常であれば体内の余分なカリウムは尿として排出されますが、腎機能が低下するとうまく排出できなくなってしまいます。その結果起こるのが、血液中のカリウム濃度が基準以上に上昇する「高カリウム血症」です。高カリウム血症は不整脈を引き起こし、重篤な場合は死に至る危険性があるため、カリウムの摂取量を制限する必要があるのです。
カリウム制限の程度は腎機能や血清カリウム値による
日本腎臓学会の「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版」では、腎臓病のステージ(腎機能の低下度合)によってカリウム制限の目標値を以下のように設けています。
- ステージ1〜3a:制限なし
- ステージ3b:1,500mg以下
- ステージ4〜5:2,000mg以下
ステージ1は腎臓に障害はあるものの働きは正常なレベル、ステージ5は末期腎不全と呼ばれるレベルです。
ただしこの数値はあくまで目安であり、個人差があります。自分のステージや血液検査の結果(血清カリウム値)を参考にしながら、主治医や管理栄養士と相談して適切な摂取量を決めることが大切です。
カリウム制限の方法
カリウム制限は、カリウムの多い野菜や果物、豆類や芋類などの摂取を控えたり、水に溶け出しやすい性質を考慮し調理方法を工夫したりすることが必要です。
- カリウム含有量が比較的少ない野菜や果物を選ぶ
- 野菜は小さく切って水にさらしたり茹でこぼしたりする
- 果物は缶詰を使用し、シロップは飲まない(シロップ中にカリウムが溶け出す)
- 麺類は茹でた後に湯きりする(茹で汁中にカリウムが溶け出す)
- 調味料やソース類は控える(塩分だけでなくカリウムも含まれる)
カリウムの摂取量を制限することは、腎臓病の人にとって重要な食事療法の一つですが、過剰に制限することは避けましょう。バランスの良い食事を心がけて、自分の健康状態に合わせて摂取量を調整することが大切です。
血液透析とカリウムの関係とは?
ここからは、血液透析とカリウムの関係について解説します。血液透析前の注意点や、みかんを食べる場合に必要なことを紹介するので、腎臓に疾患がある人はぜひ参考にしてください。
血液透析前はカリウムの摂取を控える必要がある
働きが低下してしまった腎機能の一部を代替するのが「血液透析」と呼ばれる治療法です。血液透析は、腎臓の代わりに血液中の老廃物や余分な水分を除去する治療法であるため、カリウムも一定量除去されます。
しかし、血液透析前のカリウム値が高すぎる場合は、カリウムを十分に除去することができません。つまり透析後も血清カリウム値が高い状態が持続することとなり、不整脈や心停止などの危険性が高まります。
みかんを食べる場合は主治医に相談を
みかんにはカリウムが多く含まれているため、食べたい場合はまず主治医に確認することが重要です。血液透析をしている方では透析前後の変化、透析をしていない方でも直近の血清カリウム値などの血液検査結果を踏まえ、カリウムの摂取量について主治医の指示を仰ぐ必要があります。そのうえで、必要に応じて管理栄養士による食事相談などを受け、みかんの摂取量を決めると良いでしょう。
とはいえみかんにはビタミンCや食物繊維など、積極的に摂取したい栄養素が含まれています。制限内にカリウム摂取量を抑えつつも、食べて良いみかんの個数を専門家に見極めてもらいましょう。
まとめ
カリウムは体に必須のミネラルで高血圧の予防・改善に役立ちますが、腎機能が低下すると血液中のカリウム濃度が上昇し、不整脈などを引き起こす危険性があります。そのため、腎臓病のステージや血清カリウム値に応じて、カリウム制限が必要となる場合もあります。
みかんのカリウム含有量は特別多いわけではありませんが、カリウム制限のある場合は主治医や管理栄養士と相談して適切な摂取量を決めることが大切です。
そうはいってもみかんにはビタミンCや食物繊維など、腎機能に関わらず摂取すべき栄養素も含まれています。
専門家に相談しながら、美味しいみかんを安全に楽しんでくださいね◎
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