目次
多くの果物に含まれているカロテノイドの一種で、黄色や橙色のもととなる天然の色素です。β-クリプトキサンチンを含む食べ物としてはカキやビワ、オレンジ、オレンジパプリカなどのオレンジ色のものが知られています。その中でも、温州みかんには特に多くのβ-クリプトキサンチンが含まれています。
そのため、みかんをたくさん食べることで知られる日本人の血中β-クリプトキサンチン濃度を測ると、その人のミカンの摂取量がほぼ推定できるとされています。(sugiura et al. J Nutr Sci Vitaminol 2004;50: 196-202.)
β-クリプトキサンチンは、体内において生命を維持するための様々な活動に利用されています。以下で詳しくご説明しますが、β-クリプトキサンチンを摂取することによって、骨粗鬆(こつそしょう)症の予防やメタボリックシンドロームの予防につながると言われています。
カロテノイド
β-クリプトキサンチンは、骨密度を高く保つことで骨粗鬆症を予防する効果があります。また、三ヶ日町で行われた研究によって、血液中のβ-クリプトキサンチン濃度が高い閉経後の女性では骨密度も高いことが示されました。
温州みかんに特に豊富に含まれているβ-クリプトキサンチン。積極的にみかんを食べることで、将来の骨密度の低下を抑えて骨粗鬆症を予防できるかもしれません!
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
β-クリプトキサンチンには、肌の保湿に力を発揮するヒアルロン酸の合成を活性化させ、ヒアルロン酸の量を増やす効果があることが確かめられています。β-クリプトキサンチンを摂取することで、お肌の乾燥を防ぎ美肌を保つことが期待できます。
β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い人は、インスリン抵抗性を有するリスクが低くなることがわかっています。
インスリン抵抗性
【通常】
血糖値が高い →インスリンが放出される →臓器での糖の吸収を促進する
→血糖値が下がる
【インスリン抵抗性が高い】
血糖値が高い →インスリンが放出される →臓器がインスリンを認識できず、糖の吸収が起こらない →血糖値は高いまま →さらにインスリンが放出される →
…→膵臓でインスリンを分泌する機能が低下 →血糖値が常に高い状態になる
→Ⅱ型糖尿病を発症
果物は糖が多くカロリーが高い、と思われがちで、糖尿病にはよくないと言われることがあります。しかし、実際には水分が多く含まれており、むしろ低カロリーな食品と言えます。特に、β-クリプトキサンチンを含むみかんを積極的に食べると、糖尿病の予防につながるかもしれません!
果物のカロリー比較&栄養素別ランキング!
β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い人では、脂質代謝異常症(高中性脂肪血症)の発症リスクが低下することが確かめられました。脂質代謝異常症とは、血液中に含まれるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセライド(中性脂肪)が少なくなりすぎている、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が少ない状態が続く病気です。
「脂質」と聞くと体に悪いように思う人もいるかもしれませんが、脂質はエネルギーを貯蔵したり、細胞膜やホルモンの材料となったり、私たちの体の機能を保つために大切な働きをしています。脂質代謝異常により体内で脂質の流れがうまく調節できなくなると、動脈が硬化して心筋梗塞や脳梗塞などの病気の原因となる可能性があります。
β-クリプトキサンチンの血液中濃度が高いと、動脈硬化を発症するリスクが低下することが判明しました。動脈硬化とは、老化によって血管が狭くなったり、血栓ができやすくなったりすることを指します。その結果、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気が引き起こされる可能性が高まり、命の危険につながります。
動脈硬化の原因はひとつではありません。肥満や高血圧、高血糖、脂質代謝異常など、様々な要因が重なることで動脈が硬化してしまうのです。食生活を含む日々の生活習慣に注意して、動脈硬化を予防することが大切です。食事にみかんを取り入れるのも効果的です。
β-クリプトキサンチンの血液中レベルが高い人は、肝機能異常症を発症するリスクが低下することがわかりました。肝機能異常症とは、肝臓の機能が正常に働いていない状態を指し、主として血中ALT値やγ-GTP値の高さで評価されます。
特に、β-クリプトキサンチンは、飲酒が原因でγ-GTP値が上昇するのを抑制する効果があり、お酒を飲んだ後の肝臓の負担を軽減する可能性があります。みかんや柑橘類が二日酔いに効くと言われるのはそのためです。
みかんは二日酔いに効くって本当!?二日酔いに効く食べ物をご紹介!
β-クリプトキサンチンが骨密度の低下を防ぎ、骨粗鬆症の発症リスクを下げる効果が認められました。その結果、β-クリプトキサンチンを特に豊富に含む三ヶ日みかんが、生鮮食品としては国内で初めて「機能性表示食品」に指定されました(届出番号:A79)。気になる三ヶ日みかんとβクリプトキサンチンの関係をご紹介します。
三ヶ日みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンの含有量を測定したところ、糖度が高いほどβ-クリプトキサンチン含有量が高いことがわかりました。特に、三ヶ日みかんは光センサーを使用した選果機を選果場に導入して、糖度の高さによって特秀・秀・優・良の4等級にみかんを分類しており、等級が高いみかんほどβ-クリプトキサンチンの含有量も高いことが示されました。
三ヶ日みかんは、β-クリプトキサンチンの骨密度の低下予防や骨粗鬆症の発症リスクを下げる効果によって、βクリプトキサンチンの「機能性表示食品」に指定されています(届出番号:A79)。
機能性表示を取得した三ヶ日みかんは、1個当たり1㎎以上のβ-クリプトキサンチンを含んでいます。1日に必要なβ-クリプトキサンチンの量は3㎎と言われていることから、毎日3個ずつ三ヶ日みかんを食べることで、みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンが健康によい効果を発揮することが期待されます。
温州みかんに含まれる「β-クリプトキサンチン」の効果を確かめることを目指して、三ヶ日町の住民を対象に調査が実施されました。研究は、引佐郡三ヶ日町(現浜松市)、農研機構・果樹研究所(当時)、浜松医科大学が共同でおこないました。
2003年~2013年の10年にわたる追跡調査の結果、三ヶ日みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンが骨を強くする効果があることや、生活習慣病の予防に有効であることがわかりました。
三ヶ日町研究では、1日にみかんを3~4個以上食べていた人においてβ-クリプトキサンチンの効果が現れやすいという結果が示されました。三ヶ日みかんには1個当たり1~2㎎のβ-クリプトキサンチンが含まれていることから、β-クリプトキサンチンを1日に約3㎎摂取すると、健康に良い効果があることがわかりました。みかんを食べて血液中のβ-クリプトキサンチン濃度を高く保つことが、生活習慣病の予防に有効である可能性が示唆されたのです。
温州みかん、特にβ-クリプトキサンチンを豊富に含む「機能性表示食品」として認定されている三ヶ日みかんを積極的に食べて、骨粗鬆症の予防に役立てましょう!
健康によい効果があることがわかったβ-クリプトキサンチン。温州みかん以外では、どのような野菜や果物に多く含まれているのでしょうか?
実は、欧米ではβ-クリプトキサンチンを含む食品を頻繁に食べる習慣がなく、他のカロテノイドに比べてその効果はあまり注目されていませんでした。冬場にみかんをたくさん食べる日本人についてβ-クリプトキサンチンの効果が研究されるようになって初めて、β-クリプトキサンチンの有用性が明らかになりました。
天然色素のカロテノイドの一種であることから、ぽんかんやパパイヤ、柿、赤ピーマンなど、赤や黄色、橙色をした野菜や果物で含有量が高くなっています。また、みかんでは、砂じょう(さじょう)とよばれる果肉の部分よりも皮(フラべド)に多く含まれています。きれいに洗って皮まで有効活用してみてはいかがでしょうか。
欧米ではβ-クリプトキサンチンを含む食品を頻繁に食べる習慣がなく、他のカロテノイドに比べてその効果はあまり注目されていませんでした。冬場にみかんをたくさん食べる日本人についてβ-クリプトキサンチンの効果が研究されるようになって初めて、β-クリプトキサンチンの有用性が明らかになりました。
1日当たりの摂取量に換算すると、Mサイズの三ヶ日みかんを1日におよそ3個食べることで、β-クリプトキサンチンによる健康増進効果が期待できる3㎎のβ-クリプトキサンチンが摂取できます。
1日に3個は多い!と感じた人もいると思いますが、無理のない範囲で楽しくみかんを食べて、健康によい効果のあるβ-クリプトキサンチンを取り入れましょう!
お気に入りに追加するには、ログインをしてください